Fluoresin Coating フッ素樹脂コーティング

About Fluoropolymer Coating フッ素樹脂コーティングとは

フッ素樹脂のもつ耐熱性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦特性、電気特性、不燃性などの非常に優れた性質を金属やセラミック、ガラスなどの表面に塗装することで基材表面にその特性を与える技術です。

コーティングは、用途により塗膜となるフッ素樹脂の種類が異なり、その加工方法も変わりますが、一般的には基材表面の物理的表面処理(サンドブラストによる粗面化など)、塗装(液状塗装や静電粉体塗装など)、乾燥、焼成、冷却の順で行われます。

塗膜の厚さも塗料の種類によって異なりますが、1回の工程で約20 ~200µで、塗装と加熱溶着を繰り返すことで、厚く塗ることも可能です。

フッ素樹脂コーティングとは

Features フッ素樹脂コーティングで出来ること

  1. 01

    部品や設備の保護

    薬品や摩擦、電気などの外的影響から、機械部品や設備を保護します。これによって薬品による錆や摩擦によるキズ、帯電などが最小限に抑えられ、部品や設備が長持ちします。そのため、取替えやメンテナンスの頻度が少なくなり、コストダウンにもつながります。また、表面処理材は負荷の大きい環境にさらされるため、高耐久性、 高機能性材料が選択され最適の表面処理技術でお客さまが望む【モノ】として提供されます。

  2. 02

    作業効率のアップ

    重いものを少ない力で動かしたり、洗浄やメンテナンスの回数を減らしたり。あるいは焼型や鋳型などの型離れを良くしたり。工具や治具、金型などに表面処理することで、人や機械にかかる作業量、時間を少なく抑え、作業効率を高めることができます。

  3. 03

    安全性の確保

    たとえば、エスカレーターのステップの側面壁(スカートガード)にはフッ素樹脂のコーティング加工が施されています。すべりの良いスムーズな動きを促すことで、巻き込みの事故を防ぎ、利用者の安全を守っています。

  4. 04

    騒音の緩和

    ネジなどのパーツが大量に集積したり運ばれたりする製造工場では、騒音も悩みの種です。そんな騒音は、パーツ搬送用の器具に防音性の高いフッ素樹脂コーティングを施すことで緩和されます。
    高価な防音設備を導入せずに、フッ素樹脂コーティングだけで騒音を抑えることが出来た事例もあります。

  5. 05

    高精度の表面処理

    200µm(0.2mm)φのノズルに50 ~ 100µm(0.05 ~ 0.1mm)の非粘着処理を施すことにより寿命が5 ~ 10倍延びた例があります。
    これは高精度のノズル径を落とさずに汚れ物質が付着しない表面処理を行うことにより実現したものです。

  6. 06

    導電性の付与

    優れた絶縁特性をもつフッ素樹脂は、絶縁体の摩擦によって生じる 静電気を帯電しやすい素材です。この帯電した静電気は時に火花放電を起こし、重大な事故につながる可能性があります。非粘着、耐薬性という特性を生かしたままで導電性のPFAコーティングをすることで、防爆対策することも可能です。

再コーティング
再コーティング

コーティングした塗膜が劣化してしまった場合には、SUSやアルミなどの場合は繰り返しコーティングしなおすことで母材が再利用でき、経済的です。

Case コーティング品例

Dedication こだわり

  • 品質について

    品質について

    フッ素樹脂コーティングは、成形品、フィルムなどの様に単体として使用する場合と違い、基材(各種金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、ゴム等)とコーティング材との接着をいかに高めるかが重要なポイントになります。

    そのため、コーティング品が使用される環境を詳しく教えていただき、コーティング膜に期待される効果を共に考え、300種類ある塗料から用途にふさわしい選択を行い、加工します。

    フッ素樹脂の性能を100%引き出すコーティング膜の提供を目標にしています。

  • 価格について

    価格について

    お客様の要求に合わせて、コーティング膜の仕様を決めますので、都度見積が原則となります。(あらかじめ、指値がある場合には、ご要望に応えられる様ご相談させていただきます)見積りをする際に、基準となっている要素は以下のようなものです。

    1. 面積
    2. 膜厚
    3. 加工材料の種類
    4. 形状
    5. 重量
    6. マスキングの有無
    7. 数量
    8. 納期
    9. 荷姿
    10. 使用環境
    11. 外観規格の程度

Before Requesting フッ素樹脂コーティングを依頼される前に

01 基材の汚れ具合はどの程度ですか。
ひどい油汚れ等は付いていませんか。前に加工した塗膜が付着していませんか。
02 加工温度により基材の変形・変質のご心配の場合
基材と塗膜の接着力を向上させるため脱脂、ブラスト等の前処理を行います。そのため、基材に変形・変質が発生する場合があります。
また、前処理材が、被加工物にある僅かな隙間に入り取り除けない場合もあります。
03 基材の耐熱性は
約400℃の焼成炉にて焼成を行いますので、耐熱性のない物は変形等が発生します。耐熱性のない部品等が付属している場合は、予め外して下さい。尚、低温焼成のフッ素樹脂コーティング加工もありますので、ご相談下さい。
04 加工をしては困る箇所はありますか
コーティングが必要な箇所、不必要な箇所又は、コーティングがされてはいけない箇所がある場合は、予めご指示下さい。マスキングして、困る箇所の加工はいたしません。
05 全面コーティングの場合
吊り穴、吊りしろを確保して下さい。
06 ご希望の品質検査は
品質検査評価については、各種測定、検査機器が準備されております。お客様のご希望が特にない場合は、社内規定による出荷検査を行います。検査表の必要な場合は、検査項目をご指示下さい。
07 引取納入について
お客様で加工品を送っていただければ、加工後、当社から納品いたします。

Safe Handling 安全な取扱い

フッ素樹脂コーティング加工品として、本来の用途以外に使用しないで下さい。

01 高温加熱して使用する場合
フッ素樹脂の熱分解により分解ガスが発生し、誤って吸引すると、呼吸障害などを起こすことがあるので、下記事項を厳守して下さい。
  1. (1) 指定された使用温度以上で使用しない。
  2. (2) 製品の表面処理膜に、直接炎を当てたり、製品を焼却したりしない。
  3. (3) 製品を溶断・溶接しない。
     (製品を溶断する場合は、先に塗膜を剥離して、溶断作業を行って下さい。)
  4. (4) 局所排気装置を設置し、発生ガスの排気と換気を十分に行う。
02 食品調理用として使用する場合
食品調理用のフッ素樹脂塗膜自体は、米国食品医薬品局(FDA)、厚生省告示20号の食品衛生法に合格しているため安全ですが、下記事項を厳守して下さい。
  1. (1) 使用時に過度の加熱・空焚きをしない。
  2. (2) 製品の表面処理膜に直接炎を当てない。
  3. (3) 製品を焼却しない。
  4. (4) 製品を調理用途以外に使用しない
  5. (5) オーバーヒートする設計のコーティング加工品は使用しない。
03 耐食用として使用する場合
フッ素樹脂には優れた耐食性がありますが、塗膜自体に塗膜欠陥(たとえば、ピンホール)が無く、また厚膜であっても、ガス・水分・薬液などが徐々に浸透していくので、長期間にわたり使用していると、素地が腐食することがあります。
04 医療用として使用する場合
元来、フッ素樹脂は、人体に移植したり体液や生体組織に接触したりする医療器具などへの使用を目的として、特別に設計・製造されたものではありませんので、当該用途には使用しないで下さい。
05 運搬、積載及び保管する場合
フッ素樹脂は非常に滑りやすい性質があるため、架台が不安定であったり、傾斜していたり、過度の積み重ねをすることにより、製品が落下し、けがをすることがあるので注意して下さい。

Characteristic Comparison フッ素樹脂コーティングの特性比較表

主原料 膜厚 耐熱温度 非粘着性 耐熱性 耐摩耗性 使用例
PTFE 20 ~ 50 260 調理器具、包装機械
PFA 50 ~ 100 260 食品製造装置、製氷機
300 ~ 500 260 配管類、パルプ類、継手類
500 以上 260 反応槽、攪拌羽根
FEP 20 ~ 50 204 金型、ロール類
50 ~ 500 204 粉体装置、薬品槽
ETFE 300 ~ 500 150 ~ 180 鍛金治具、絶縁部品
500 以上 150 ~ 180 貯蔵槽、攪拌羽根